胃がんについて


Q. 先生、やはりがん患者って多いんですか。

A. そうですね、毎年50万以上の人ががんにかかっています。
 

Q. まずは、一番日本人に多いといわれている「胃がん」についてなんですが。

A. いえいえ、1988年に肺がんが一位になったんですよ。胃がんは現在二位。がん死亡の18%を占めています。しかし、罹患数は相変わらず一位で、毎年10万人以上の人が胃がんにかかっています。
年齢調整率は大きく低下していますが、罹患した人数そのものはむしろ増加しています。
これは日本人の高齢化によって胃がんにかかりやすい年齢層の人が増えているためと考えられます。
 

Q. かかりやすい年齢層って、高齢者ってことですか。

A. 今は比較的高齢者の方が多いです。胃がん発生率には食生活が重要な役割を果たしていると考えられます。昔の食生活って、梅干、塩サケと、とかく塩分摂取量が多かったでしょう。以前、北陸東北地方で胃がんの死亡率が高く、沖縄県では胃がんの死亡率が全国平均の半分だったんです。これは、塩分の摂取量が高い地方と低い地方(例えば米国等)とで、胃がん発生に大きくかかわっていると考えられます。アメリカでもかつては胃がんの死亡率が高かったんですが、今ではまれな疾患となっています。
アメリカで特に胃がんの一次予防が積極的に取り組まれたわけではありません。
食品の保存方法が塩を使った塩蔵から冷蔵冷凍保存に変わったことにより、塩分の多い食品の摂取量が自然に減少したのです。また、新鮮な野菜や果物をいつでもとることができるようになったことなども大きく影響していると考えられます。食生活は大事なんですよ。
 

Q. タバコとかお酒ももちろんだめですか。

A. 口に近い口腔や食道のがんの発生は喫煙習慣の影響を強く受けることがわかっています。胃の中でも胃上部は下部の胃に比べて喫煙習慣の影響を受けるとされています。喫煙、飲酒のどちらもする人はより危険性が高まると思います。ちなみに、飲酒の習慣はあるが喫煙の習慣のない人では、胃がんにかかる危険性は高まらず、お酒と胃がんの関連ははっきりしません…。 


胃がん予防には、1喫煙習慣をやめる 2食生活を胃がんになりにくいものに改善していく、すなわち塩分を多く含む食品の摂取を控え、新鮮な野菜や果物を多くとるように心がけることだと先生に教わりました。